災害救援集団すばる 設立趣意書
「すばる」は「統ばる」とも書き、「集まってひとつになる」という意味の日本の古い言葉です。
私たちは2011年3月11日に発生した東日本大震災後、東北でのボランティア活動中に出会いました。その時に、平常時の社会システムが機能しなくなる緊急時に、一人ひとりの被災地や被災者へのニーズに寄り添う気持ちが集まることで、思いもよらぬアイデアが生まれ、リーダーシップが発揮される出来事に何度も出会い、人間の智慧やチカラの素晴らしさを目の当たりにしました。
その後発生した各地の災害時には、それぞれが個人で救援活動を展開していましたが、2018年7月、西日本豪雨災害が発生した際に広島の被災現場で再び出会い、支援活動を共にしました。
近年、台風や豪雨による土砂災害などの気候変動を起因とする災害は各地で頻発し、被害も広域化・大規模化しています。私たちは、緊急支援期には、特に公的な支援が届きにくいところへは、被災地域以外からの地域を超えた支援の手が必要だと考えます。また、発生の段階によって刻々と変化するニーズに的確に対応できる経験豊かなコーディネーターと現場リーダーに加え、多様な人の意見を聞き、全体への気配りやコミュニケーション能力の高い人材の派遣と育成が重要だと思っています。そして長い時間が必要な復興に向けて、ご縁を結んだ地域の人たちと、息の長いつながりを保ち続けることも。
2020年7月には、新型コロナウイルスの世界的な感染の脅威のもとで、危惧していた豪雨による災害が日本各地を襲い、大規模な被害をもたらしました。さらに不幸なことに、ウイルスの感染を防ぐために、これまでのような地域を超えて、災害ボランティアが支援活動を展開することが困難な状況です。この先、気候変動もますます深刻化し、自然災害も広域化、激甚化することが想定される中、新たな脅威はこれにとどまらないでしょう。
このような中で、緊急時のみならず平常時においても人びとが助け合い、支え合い、学び合う安全で安心な地域社会をつくるためにどのようなことができるでしょうか。
この問いを持ち、私たちは、これまでの災害支援活動で培った技術や智慧、ネットワークなどを活かし、災害に強い社会を構築するために、ひとつになることを決心しました。
「津波もすごいけど、人のチカラもすごいね」
東北の被災の現場で聞いた言葉を常に思い出しながら、人びとが笑顔になる瞬間に立ち会うことを求め続けていきたいと思います。
2020年8月17日
災害救援集団すばる発起人一同